ロクハン モニタースピーカー

私は35年間、同じスピーカーで音楽を聴いている。これだけ聞くと何と物持ちのいい、ということになるがソコにはちょっとこだわりがある。

ずっと聴き続けているDIATONE P610というフルレンジスピーカーユニットは、自作のスピーカーボックスを替え続けて今の箱で4代目である。NHKのモニタースピーカーとして生まれ、ロクハンの愛称で一般販売されてから50年になる。飾り気のない素直で真面目な音がモットーだ。

音楽ソースは、生録やレコードからCDに変わり、デジタルメモリーへと劇的に変革している。音がどんなに進化しても、道具を手の中で使いこなすことと同じように、時を越えて音楽を耳で聴きこなすことを、じっくりと出来る力がこのユニットにはある。残念ながら老朽化に屈し、写真は2代目となるが、森羅万象のバランス感覚を、このスピーカーで耳から教わった気がしている。

佐藤聖徳,2011.04,vol.073

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