善い道具の創造

引越し荷物を整理しながら考えた。理に働けば数が減り、情に掉させば増えてゆく、人が生きる為に持つべき道具は何だろう?

すると突然、禅、Zen、善と閃き、良い道具の研究はデザイン学、善い道具の探求が道具学、という私流の定義となった。

私見、良い道具の一例は旧ライカ。ペットショップで仔犬と眼が合った時と同じ感覚で出会い、手に取ったら離れなかった。店員の決め台詞は「正しく使えば貴方より長生きすることを保障します」。

その夜、枕もとに置きクリスマスのように寝る。目覚めた後には修理と増殖、サンタクロースならぬ散々苦労スの日々、又楽しからず。あれから幾星霜、時代から取り残されてゆく善い工業製品達をハイテク機器で延命し、次代も使う夢を描いた。採算が取れない、技術的にも困難、と理系の友人達からは即座に実現の可能性を否定されたが、懐古骨董趣味とは異なる、新たな道具の創造に焦点を当てた研究をしてみたい。

石崎 友紀,2006.08,vol.017

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