鏡餅をどうぞ
ホッとあたたかい白肌のお餅。よく見ると、杢目がはしる木のお鏡。
輪島の木地師・高田さんが銀杏の白い木肌にほだされて、それが歳の暮れであったので、挽いてみたのが、上下とも木のこのお鏡。
橙も欅や漆の木を挽いた、そのままの木地の色味。
木地の仕上げ挽きには刃当ての加減に腕前がそのまま露呈し、ただ白木の木肌が魂を魅了するか否かを決する。
銀杏は樹齢80~90歳。伐ってそのまま山で寝かせ、里におろして寝かせ、用材に挽いてまた寝かせ、按配よく乾けば黴びもせず、割れもせず樹齢の倍は矍鑠と長寿をたもつ。
この気魂みなぎる白木のお餅、古稀に長寿を託し、喜寿に米寿を期して贈り、初孫に白寿を頼むにふさわしからずや。
写真撮影:大屋 孝雄 氏
制作:高田 晴之 氏(その年の注文をまとめて11月から制作。年内に届きます)
山口 昌伴,2006.01,vol.010