サイズを超えて寄り添う形

もう現在は改修されて姿を変えてしまった可能性もあるが、出張で訪れたロンドンでオフの時間を使って交通博物館に行ってみた時、トイレにあったこの波型洗面台に出合い、良い意味で大変ショックを受けた。以後講義で取り上げる事例の一つになったデザイン。

最近は大型ショッピングモールや高速道路のパーキングエリアにも下のような、いわゆる親子洗面台の設置が広がっている。大人と子ども、車椅子利用者などに配慮した高低差のある洗面コーナー。このようにさまざまな人に配慮した機器や設備の広がりは時代を反映したインフラ整備の充実と見ることが出来る。

そんな中でこの波型洗面台がもたらす佇まいのなんと楽しげな雰囲気か!交通博物館ということもあり、先生が引率する小学生たちが大勢訪れる場所で、先生と生徒たち、体格の違う生徒たちがワーっとここに駆け寄って手を洗う姿が目に浮かぶことでしょう。この事例はデザインの力、面白さを学生たちに伝える分かり易い事例として、座学やゼミでも何度も使わせていただいた素敵な出合いだった。

峯 郁郎,2022.02,vol.176

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