包む道具

人はなにかにつけて「包み」たがる。包み方によって中身の性質を決めるのだから、包むもの(風呂敷・袱紗・包装紙)は道具である。いわば、儀礼の存在が道具を生み出す。だから「儀礼服はまさに道具」である。

近年、沖縄に「かりゆしウエア」なるものがあり、ビジネススーツに替わる夏服として普及をはかっているが、今年は本土の官庁街から「クール・ビズ」なる類似の新種が登場したという。その騒ぎのなかで「かりゆしウエア」の知名度も少しはあがったらしいが、新聞によれば、「かりゆしウエア」は本土では「リゾートウエア」とみなされて「クール・ビズ」と区別されるという。これでは普及が限定されるので、県内メーカーは「かりゆしウエア」らしくない「かりゆしウエア」を模索しているという。

写真のシャツのどれが、真性の「かりゆしウエア」? 「クール・ビズ」? どちらでもない? わかるでしょうか?

朝岡 康二,2005.09,vol.006

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