段ボール箱

生活のなかに宅配業がさらに浸透していく昨今、なんであれものを運ぶときに介在するのが梱包材だ。コロナ禍以前、かなり前から脱過剰包装や省資源化は唱えられていた。とはいえ、仕事でもプライベートでも、なにかと段ボール箱に入って、届けられる。

そして、中身を取り出したら段ボール箱は不要となるのだが、捨てられない。資源ごみとして回収され、再生されるということもわかってはいるが、手元に置いておきたくなる。注意深い手つきでゆっくりと伝票のシールを剥がし、底面に貼られたテープはそのままにして、箱状で取っておく。畳んでしまったら大きさがわからなくなるからだ。しかし、箱状だとかさばるし、サイズや縦横の比率が異なるものたちが、きれいに収まらない。当然、その保管状態の見栄えは悪くなる。それでもいつか、誰かに送りたいものにサイズぴったりの段ボール箱が組み合わさることを夢見て積みあげているのだが、そんなことは滅多にない。

野田 尚稔,2023,vol.188

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