洗髪槽

写真は「洗髪槽」といって、ベッドの上で洗髪を行う看護用品である。これを考案したのは岐阜大学医学部看護学科の、社本生衣准教授である。著者との関わりは、洗髪槽の基本的な形態がほぼ出来上がった段階で、実用化設計に参加した。

快適な洗髪には、頭皮に石鹼成分が残らないように、十分な湯量の使用が求められる。それを効率よく排水することが大きな課題であった。

そこでたどり着いたのが、排水口を底部の中央先端部に取り付け、マットレスとヘッドボードの隙間に排水ホースを通し、左右に振り分けることにした。次に底部のシートを二層の袋状にし、中に左右二枚の底板を配置した。中央に枕を置くことで、患者の頭の重さで、左右の底板がV型に変化する仕組みで、排水を中央に集め、スムーズな排水を可能にした。

介護の領域を、人的労力だけで解決するにはおのずと限界がある。そのことから道具の開発が、今後の看護技術の向上に繋がることを確信している。

岐阜大学 社本研究室+㈱タナック

滝本 成人,2023.2,vol.185

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