福を呼ぶハコ
商店街の福引きに必ず登場する定番道具。ご存知の通り、多角形のハコを回転させると穴から色のついた玉が飛び出してくる仕掛けで、一度に複数の玉が出ない構造になっている。一般に「ガラガラ(ガラポン)抽選器」と呼ばれているが、元祖は「新井式廻轉抽籤器(あらいしきかいてんちゅうせんき)」と言うそうだ。大正の初めに新井卓也氏が考案したもので、「東京抽籤器研究所」が造っている。他社も特許が切れた後に参入したが、今でも製造しているのは大阪の「新興抽籤器製作所」のみのようだ。
この非常にユーモラスな道具、誕生のエピソードが面白い。新井氏は元々は帽子屋で、客へのサービスで福引きを行おうとした際、近くにあった多角形の帽子の箱を使って抽選器を造った。これが大変好評を得たため、とうとう抽選器専門の会社「東京抽籤器研究所」を設立、特許を取得する。現在の社長は新井卓也氏の孫にあたる。
結局、福を引き当てたのは考案者の新井卓也氏本人だったようだ。
写真は新興抽籤器製作所製のもの
口井 雅弘,2009.05,vol.049