ライカのコレクション

カメラに興味を抱くようになって、ライカM3のコレクションを思い立った。そこで心に決めた目標は、初期型と後期型を1台づつ手に入れようと思い立った。仕事でヨーロッパや北米に出張した折に、暇を見てはカメラショップを回ってみた。そこで気づいたことは、ヨーロッパのカメラショップに並んでいるライカは美品が多いが、アメリカでは程度の良いものが少ないことであった。なかには軍艦部に自分の名前を彫ったものもあり、購入意欲を大いにそがれてしまったこともある。後期型(No. 1090841- 1963年製)の美品は間もなくケルンのカメラショップで見つかり、すぐさま購入した。そして、数年後に偶然にもシカゴの中心街にあるカメラショップで、素晴らしい状態の初期型(No. 780703- 1955年製)を見つけることができた。店主の話では「アメリカで程度の良いライカを見つけるのは難しいと思うよ。アメリカ人はNATOでヨーロッパに駐留した後、帰国に際して何か記念にとライカを購入する人が多いと聞いている。しかし、殆どの人はカメラの趣味はなく扱い方が乱暴だから、中古で市場に出てくるライカは状態が悪いものが多いんだ。このライカはNATO帰りではないから安心してください。」この話の真偽のほどは分からなかったが、妙に納得して購入した。

高梨 廣孝,2021.12,vol.174

シェアする