ヘンミ計算尺

計算尺は、数値を対数で表すことによって、乗除算が加減算になるという原理を利用したアナログ計算器だ。1620年に英国のエドマンド・ガンダーが対数関数の値を目盛として配置したガンダー尺(対数尺)を発明、これが計算尺のルーツで、1850年頃にフランスのマネーム(マンハイム)が2つの直線形の固定尺の間に滑尺をはさみ、乗除算、二乗と平方根などの計算が容易にできる計算尺を考案し、イタリアのセラによってマネームの計算尺の解説本が出され、ヨーロッパでは計算尺が広く普及することになった。この形式の計算尺は日本には「マンハイム計算尺」として伝えられ、1909年に逸見治郎によって竹製の計算尺が作られた。戦後、ヘンミ計算尺は最高級品と知られ、昭和30年代には年産100万を生産、海外にも出荷され、科学者や技術者の必須のアイテムとなった。

石田正治,2021.02,vol.166

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