消防車の籠

消防車は火災現場に水を持参するわけではない。消火栓などから現場で調達する。その水を真空ポンプで汲み上げてハシゴ車などに供給するのがポンプ車である。そのポンプ車のホースの先に竹籠のようなものがついているのが前から気になっていた。消火栓ではなく川や池から給水する際、周囲に傷をつけずに、また異物を吸い込まないようにするフィルターである。実際に見せてもらうと、竹を割ったような甲丸型断面の樹脂をまるで竹籠のように編んで作られている。つい最近まで竹で作られていたことは容易に想像できる。しかし樹脂製になったときにメッシュやパンチングなど他のデザインにする可能性はいくらでもありそうだが、竹のように編むという方法を継承しているのはなぜだろう。何の疑いもなく材料を変えただけなのだろうか。中を見せてもらうと穴があいた円筒と2重になっている。ということは穴あきの筒では得られない弾力を得るにはこの伝統的な編み方が最も適しているということなのだろうか。

岸本 章,2014.08,vol.113

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