nobep.jpg野辺公一

■研究領域
 住宅の生産性や生産主体である工務店の動態分析等を含めて、小規模な生産体の自在性と可能性を調査研究する、といったことになる。必然的に木造住宅の生産の現場を中心とした研究がその領域となっている。木造住宅生産の世界においても、大工技能者の圧倒的減少化とその技能自体の分節化が進行し、大工とは何か、といったことが道具箱の中からその実態が見えてくる。また、不毛な伝統住宅生産技能というこだわりの空虚さも。
 それはともかく、足の向くまま、気の向くままに道具学会草々期に道具学会誌に毎号「ものづくり現場考」というルポを書いた。いまその対象とした現場を上げると、ガラス工場、抽選器製造所、加賀麸製造工場、バンブーロッドビルダー工房、畳床工場、仏壇屋、歯科技工ラボ、工務店下小屋、アクセサリー工房、ダイビングスーツ工場、知的授産施設等である。これらは、全て現在とういものが作り出す道具の意味と存在論を検討したいと考えた時、視線を低くして道具は考察するものだな、と気付かせてくれた。

■道具学への招待
 一つの道具がつくられるまたその中に道具があり、それらはさらに、という感じで道具学の面白さはただ一つ。行って見なけりゃ分からない、やってみなけれりゃ分からないという部分にある。しかし、この面白さをきちんと正確に捉えるには歴史的存在として表出されてきた背景と役割の分析を欠かすことはできない。
 これまで、道具学会活動を通じて様々な道具のからくりと衰退と堕落と誕生を見させてもらってきた。今後道具に何が起こるのか。私は未だ3.11をきちんと日本の道具史の中に納めていない。きっとこれからその考察を行うことが、この学会でのやるべきことと思っている。

■略歴
オプコード研究所所長。住宅評論家・研究者 家づくりの担い手としての工務店の可能性に着目、全国の優良工務店による協同組合SAREX(サレックス)の創設に関わり、現在は専務理事として工務店のレベルアップに取り組む。社会学、介護問題などにも造詣が深く、幅広い視野で住宅産業、家づくりの現状を分析、執筆活動や講演活動などを通じて問題提起を続ける。 編書に「いい工務店との家づくり」(雲母書房)やWEBサイト「いい工務店による家づくりサイト」の運営を中心に、消費者向けの情報発信も行っている。 1950年・群馬県生まれ。 文・三浦祐成(新建ハウジング)

と他人様が書いてくれたもので略歴とする。

(2013/11)