石川 義宗

「道具が好き」というやや不可解な人たちのサロン。それが道具学会です。椅子について熱く語ることが日常にあるでしょうか。ここにはあります。デザインの知識が身につくだけではありません。申し遅れましたが、私の専門はデザイン史です。デザイン史の面白いところは、歴史を通じて生活が見えてくることです。人が見えてくることです。例えば、椅子がどんな部屋に置かれ、誰がどんな服を着て座っていたのか。その人はときには考えごとをし、ときには手紙を書き、ときには本を読み、ときには子供に読み聞かせることもあったでしょう。道具は暮らしを知っているのです。道具学会は道具の声を聴く会です。

(2018/06)

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