「片手」リコーダー

左:ソプラノ(C管) 右:アルト(F管)

現在も小学校の音楽教育で鍵盤ハーモニカと並んで活用されているリコーダー、皆さんも一度は触れて演奏されたご経験もお有りではと。左の製品は、怪我や何らかの理由で左右の指に不自由が生じた場合でも運指、演奏が可能な特別仕様の楽器。キイシステムを持つ木管楽器から発想し、ピッコロのキイを改造した試作を繰り返し1981年に発売したもの。5本の指で演奏可能なリコーダーで、片手リコーダーと呼んでいる。

ソプラノ、アルト、右手用、左手用の4種類のモデルが用意されており、片方の手で楽器を支えながら5本の指で全てのキイのコントロールが可能となっている。少し追加の練習時間を要するが、児童たちの上達は驚くほどはやいという報告もあるとか。

昨今の、みんなに優しいプロダクトという意味では元々特別な練習を必要とする楽器はやや微妙な立ち位置であることは否めない。そんな中で、この製品はみんな同じように学ぶというこの国ならではの教育環境が前提の提案、サービスと言えるかもしれない。

画像協力:ヤマハ株式会社

峯 郁郎,2025,vol.200

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