Frillneck ARAPHAT (フリルネック “アラファット”)
1997年の12月初旬から42日間、あるTV番組のロケでオーストラリア各地を巡ったことがある。当然、南半球なので真夏。毎朝船に乗り、離れ小島や周辺の会場で撮影をする。眩い白浜は「レフ板代わり!」と女優なら喜ぶが、気温42℃強の中、日傘も木陰もなく長時間作業するには日除け対策が必須。そこで救いとなったのが、現地で購入した「幼児用SPF 50+」の日焼け止めと、豪州軍にも支給されていた完全に頭を覆えるこの帽子「Frillneck」。
当時、9.11の遙か前、通称Araphat(PLO議長名+hat)で親しまれていたこの新商品は、97.4%UVカットのmicromeshポリエステル製。至る所にマジックテープ等の仕掛けが有り、見た目怪しくなるが、幾通りの被り方が可能な優れもの。スタイル名のFrillneckとは、エリマキトカゲのように帽子から垂れて首を覆う布のこと。高い皮膚がん率の豪州ならではの産物と言える。昨今、服装の自由を望むイスラム圏の女性もいるが、温暖化が進む中、むしろUVカットのブルカのような伝統衣装の方が理にかなっていると思う。
堀内 マリーン 雅未,2014.07,vol.112