治具の考察―丸棒を安全に切るには

治具は英語でjig。私の場合は木工加工だが多くの治具を使う。安全にそして、的確に作業をするためには、どういう治具を作ればいいのか考えることが多い。例えば丸棒を手鋸で切るのは、さほどむつかしいことではないが、丸鋸盤(昇降盤)という電動の大型機械では、ダウンカットといって鋸刃が作業者に向かって下の方に高速回転していて、丸棒が切断された瞬間、木片はその回転している鋸刃に当たって作業者に飛んでくることが多い。それをキックバックというが、極めて危険なことだ。

丸棒から車輪を作る時、このキックバックをいかに防ぐかの工夫が必要になる。それにはカットされた車輪が転がらなければいいのだと考え、丸棒がきっちりと入る箱を作り、丸棒に楔を打つことで、安全にしかも作業時間の短縮を図ることを思いついた。この方法ならサイズの違う丸棒ごとに箱を作れば、同様の結果が得られる。家具やクラフトの品を作ることも楽しいが、治具を工夫することも楽しいことなのだ。

里森 滋,2012.04,vol.085

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