小さな鳥居

「禁止」するのに文字は物足りない。やろうとするのを止めさせるには心に訴えることが必要だ。一般的には標識に禁止の文字をつけるのだが、一番上品なのは言葉なしで自分の威厳だけで語ることだ。

両側に木が密集して昼間でも暗い道に、何時も膨大な大型ゴミが置かれていた。市の車が周辺を綺麗に掃除したら、半日も経たないうちにまた新しいゴミが出ていた。こんなに綺麗にした後、最初に置く大胆なヒトは誰なんだろう…。ある日、小さな鳥居が網に付けられた。その後、不思議に思うほどゴミがなくなった。

以上は滋賀県彦根市の犬上川で今年あったことである。道に立てられた高さ1mほどの小さな鳥居が不法投棄を防ぐ効果があるのは感動的だった。

実は、名前も「ごみよけトリー」という鳥居のような雰囲気を醸し出している特許品であるが、立ち小便禁止のミニ鳥居のように効果は抜群である。

デザインとしても美しい形を持つ工作物によって、聖域を恐れ敬う人間心理を利用する小さな鳥居は、いつまでも私の心に残る日本の光景である。

李 炯淑,2007.12,vol.033

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