木製インチ/センチ折り尺
これは、1980年代にストックホルムのスウェーデン・デザイン・センター訪問記念に頂いた物である。
目盛りの10センチ毎に、その数字の中心点の裏側に折り畳み用の回転ピンが埋め込んであり、それと木製の物差しを留める金属板バネが、回転させた木製尺を直線状に保持する働きをしている。
センチ表示の裏面はインチ目盛りが振ってある。最近は測定単位の標準が CGSに統一されてきた。しかし、現在でもインチという単位は、技術と生活の仲介役としても活きている。デジタル処理された印刷物の見易さ目安を左右する解像度を表す DPIという単位は Dot Per Inch である。
人間の身体の寸法との関係から実感し易い単位(モジュール)は愛用され、日本でも広さや距離の単位で一畳、一間等の尺貫法のモジュールが重宝がられて日常に活きている。
活きている道具は、その背景の習慣や文化を炙り出し物語る貴重な証人でもあると言えよう。このような視点から道具を見ることも一興である。
古川 政明,2006.11,vol.020