「つきのみや」の寿ぎ親子で寛ぐ狛兎(こまうさぎ)

地元の埼玉県浦和市では「つきのみやさま」の愛称で親しまれている調(つき)神社。寛文8年(1668年)の「調宮縁起」によれば、伊勢神宮斎主の倭姫命が参向し、この清らかな岡の地に、神宮に献上する「御調物(みつぎもの)」の倉を建て、関東一円の初穂米・調の集積所と定めた事に、その起源があると云う。

「調」が「月」と同じ読みと云うことから、月の満ち欠けを敬う「月待信仰」と結びつき、月神の使いである兎が守り神とされた。正面の「狛兎」はもちろん、境内の手水や庭園、御朱印帳まで兎だらけ。兎好きの間では兎スポットとして、近年若者達にも人気である。写真は境内中央の「神池」で寛ぐ「親子の狛兎」。何とも微笑ましい姿ではないか。

2023年(令和5年)の干支は「癸卯(みずのと・う)」。それは、冬が終わり、新たな命が生まれ、草花の芽が地面を覆い始める成長の兆しと云う。この睦まじい親子兎の姿になぞらえて、新たな出会いや、そこに顕れる様々な可能性の蕾が開花することを願って止まない。

藤本 清春,2023.1,vol.184

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