ビニール注連縄
滋賀県は長浜の旧市街地にて発見。小さな神社の鳥居に掛けられた太さ約7センチくらいのこの注連縄は、藁でなくビニールひもを編んでつくってある。色は藁そっくりで、編み技法も普通の注連縄と同じ。
伝統的に藁を編んで作られてきた草履や野良仕事用のかごなどをビニールひもで作ってしまう例はよく報告されている。伝統的な編み技法はそのままで藁よりも丈夫で長持ちのものができる(民芸のロマンにあこがれる都会人には幻滅ものだが)という。
しかし、最も神聖であるべき注連縄にまでビニールを使うとは。稲藁を清浄視してきた民俗的思考はすでに失われた、ということなのか。機械刈り農法になって注連縄にする藁が手に入りづらくなったとも聞く。注連縄の毎年の付け替えにも人手や元手が要る。
今、大切なのは自然の藁を使うことではなく、こうしてこの神社を維持していくことであるなら、このビニール注連縄、大変な発明かも。
面矢 慎介,2006.03,vol.012