道具の動物園

身のまわりの道具の名前などに動物たちがけっこう彩りを添えている。地域ごとに動物たちの現れ方を見わけていくと、比較道具文化学の一論が成り立ちそう。まずは年賀状のモチーフ十二支にちなむ道具をあげて「道具の動物園」をこさえてみようとアイデア暴発。昨年は蒔絵砂子を抑える猪の牙をあげたが、新年はネズミ歳かァ。

そこで探し出したのが12年前の賀状。マウス全盛だったので小ねずみを走らせ、添え文には卓上も道具の栄枯盛衰のフィールドだと唱えたが、今はパッドが主流。

小ねずみを走らせてプチプチから指をなすってトトンのトン。ねずっ子は画面の矢印にマウスポインタと名を残しているが道具進化の尾蹄骨にすぎず、ただの矢印をなぜマウスか判る記憶は、次のネズミ歳まで保つまい。

さて分担執筆による道具学叢書00X『道具の動物園』づくり、十二支をクリアするのが12年先では遙かに遠い。今年12ヵ月かけて皆さんでつくりませんか。

写真:梅田正明

山口 昌伴,2008.01,vol.034

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