開いて閉じて
甲虫の薄くて大きい膜状の広がった翅が、甲皮の内側にきちんと収まるのを見ると、思わず感嘆する。
ページを開くと、城や恐竜といった立体が飛び出し、閉じると再び平面に戻る絵本やカードにも興奮する。
どうやら私達は、展開する、もしくは縮む姿や機構を美しいと感じるようだ。
写真はMARIE GALANTEのトランク型ドレッサー。
長い航海に出る船乗り達が生み出したとされるマリンファニチャーがモチーフで、一見トランクと思いきや、パタパタ開くと鏡台に早変わり。
マリンファニチャーは日本の住宅事情にほどよいサイズなわけだが、惹き付けられる理由はコンパクト感ではなく、この意外性展開美。
展開する姿が美しいのか、それとも縮んで収まる姿が美しいのか。
♪むすんで ひらいて~ のように、意想外な変容の探求は、劫のように続きそうだ。
酒井 寛子,2008.06,vol.038