道具の寿命

これらの石器は、3~4千年前から浦和台地に住んだ人々に使われたものである。手に馴染むように形が整えられ、作業が楽にできるようになっている。何年間使用されたものか不明であるが、数年間で捨ててしまうようなものではないだろう。もしかすると100年以上使われたのかもしれない。

現代は、道具そのものの寿命が短く、それが変わることで、本来の生活そのものが変わってしまうような関係のものであるが、長い間使い込んで、調子が良くなるという類いの道具が少なくなった。

機能改良とデザイン変更で頻繁に道具が変わると、生活の実態はその為に変化し、ゆったりと生活の深味を増すようなこととは逆になっていく。あまりにこのようなことばかりであると、道具を美しいものに完成することもできず、ただ慌ただしく、時間を追いかけるだけの生活になってしまうように思えるが、どうであろうか。

「手に馴れた道具」という言葉もなくなるのだろうか。

山本 鍾互,2010.12,vol.069

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